研究の重要性

我が国の平均寿命が伸び、透析に至る腎障害や冠動脈疾患、脳卒中を高率に生じる糖尿病患者において長期予後の改善は大変重要な課題となっています。糖尿病は全透析患者の原因の36.6%となっており、冠動脈疾患と脳卒中の発症率は一般の約3倍、2倍と健康寿命に大きく関わり(JDCS報告)、糖尿病患者とその予備群は各々成人の10%を超え(国民健康栄養調査)大きな社会的問題となっています。ですがその一方、本邦の糖尿病実態調査であるJDCP studyやJDCSは、他の国々と異なり、糖尿病専門施設での一部の患者カルテデータの手作業収集に基づき、日本全体での実態を必ずしも反映しないのが実情です。 平成18年1月に「IT新改革戦略」が発表され、その中で「ITによる医療の構造改革」は、今後のIT施策のトップに位置づけられていますが、糖尿病のデータベースを構築できない原因の一つが、「電子カルテ上に保管されているデータの形式が、病院によって異なっている」ということです。 そこで本研究では、患者さんを匿名化した上で、各病院のデータのフォーマットを統一し収集システムを構築することで、大規模な患者データベースを構築することを目的としています。 このシステムが普及することで、今後、様々な研究を行う時に、このデータベースを用いて、効率的に研究を実施することが期待されています。